澄世は、両親と一緒に、そのC先生を訪ねて、京都まで行った。初老のC先生は、乳房温存手術の権威だった。

C医院へ行くと、まず改めてマンモグラフィーを撮られた。技師がこれでもかと言うくらい乳房を圧迫し、澄世は失神しそうになった。

C先生は他の検査は何もせず、あとは触診だけだった。寝台に横になり、胸を触診された。

「はい、いいですよ」

澄世は上着を着た。

「MRなんか診たら、色々写って、惑わされるだけなんです。これで充分わかります」
「……」
「はっきり言います。貴女の胸は小さいから、温存手術をしたら、必ず変形します」
「変形?」
「そうです。温存手術の後は、放射線をするから、それで焼けて変形するんです。お乳の大きい人はいいけど、こんなに小ぶりだと、絶対変形します」
「どうすればいいんですか?」
「私の娘だったら、乳腺の全摘出手術をさせますね。その後、一年後でも、腕のいい形成外科医にシリコンを入れてもらえば、お乳の見た目は元通りだ」
「先生、よろしくお願いします!」

父が早々と頼んだ。澄世は押し黙っていた。母も娘の心を読んで黙っていた。

診察室を出た。看護師が予約の事を聞いたが、澄世は後日に連絡すると言い、即答しなかった。