日本は高度成長時代に入りつつあり、飛躍的な経済規模の拡大が進められていました。TOTOも商品の生産が追いつかない状態で、工場の拡充や生産設備の導入が進められていきました。

景気がよくなると、資材が高騰します。鋼材も値上がりの兆しが見えたので、TOTOから、次の設備導入のための鋼材や資材を早めに仕入れるように言われました。

私は扁桃腺が弱く、この時も腫れ上がっていました。入院して手術するということになり、中津の耳鼻咽喉科に入院しました。手術をしてまもなく、TOTOの工務課の方が見えました。

見舞いに来てくれたのかと思ったら、図面をどっさり持ってきて「早く見積もりをしてほしい」と言い、工事概要を説明し始めました。私はベッドの上で痛みをこらえて見積もりをすることになりましたが、さすがに一週間の入院の間にはできません。

正式に受注もしていないのに、鋼材や資材を仕入れるように言われたのです。それでもたくさんの図面をいただき、すぐ製作にかかるように言われました。

これも弊社を信頼してくれているゆえの対応だと思い、誠意をもって取り組んでいきました。工期もないので、製作しながら見積もりをしているような状態でした。

※本記事は、2017年11月刊行の書籍『霧中の岐路でチャンスをつかめ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。