地方への赴任は医師にとって嫌なことか? 昔大学に医師派遣をお願いに出向いた頃「私も若い頃行ったことがある」と言われる教授が沢山いました。そんな教授は地域のことをよく理解しておられ随分と応援して頂きました。

また「若い頃田舎に赴任して地域の方々と酒を酌み交わし地域のことを話してよかった」「まだ若輩の身で町長さんや村長さんと膝を接して地域医療について語り合った」など若い頃に地方で仕事した医師の多くは良き思い出として語っています。

このような経験や知見から「若い医師は決して地方への赴任を嫌っていない。地方では人と人の濃い触れ合いが可能であり、医師としての重責も改めて感じることができる」と化石医師は考えています。

こうした観点から医師のキャリア形成の中で3年くらいは地方勤務を義務付けることもよいのではないかと思います。「そんなことを義務付けることは個人の自由を奪う人権侵害だ」との反対意見もあると聞きます。

多くの企業では、新人の頃には地方勤務を経験させています。それでも人権侵害だとの声は聞きません。

一生地方勤務を義務付ければ人権侵害となるかもしれません。しかし「自分の存在が必要とされる地方勤務を多くの若手医師は拒否しないだろう」と思います。

そのような地方勤務で培われた医師の心は、将来どんな方向に進んでも決して無駄にはならないでしょう。S君との交流は今も続いています。

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『新・健康夜咄』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。