Episode2 逆風

長年にわたり父に仕えてきた番頭が突然退職。

社長に何回連絡をとってもつかまえられずにいた。私はふと先代の社長の奥様と自分の母親が昔、懇意にしていたことを思い出し、その奥様から居場所を聞き出すことに成功。朝早く居場所の前で社長を待ち伏せしてつかまえ、直談判してやっと解決できた。

後日談であるが、何年か経ってその会社は社員に赤旗を振られて倒産してしまった。自業自得と言わざるを得ないと思った。

噂というものは本当に恐ろしいもので、いくら説明しても相手は聞き入れてくれない。中には我が社の倉庫に車を近づけ、私の目の前で商品を引き取って行った業者もいた。

悪いことは続くもので、とにかく金儲けをして業績を良くしなければ取引先に相手にされないと思い、社員の気持ちはそっちのけで私は孤軍奮闘、一人でガツガツ働いた。そのため社員のモラルは低下する一方。私はそれにも気づかず、社員は辞めて行くわ、貸し倒れが頻発するわ、散々な目に遭った。