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駅を出て、大きな木々がトンネルのようになっている一本道を進むと、大きな湖に辿り着いた。

湖の前にあるベンチには、人々の愚痴や悩みごとを聞く“聞き師”のシオンが腰かけていた。

彼と初めて出会ったのは10年も前。流星群を見るためにひっそりと家から抜け出した夜だった。その日は雲が多く、小雨まで降っていたが、ローレンは公園の滑り台の下で雨をしのぎながら、星が顔を出すのをじっと待っていた。

そんな時に、どこからか彼は現れ、ローレンと一緒に夜空を見上げた。そして、二人は何時間も待って、待って、遂に、一筋の流れ星を見ることができたのだ。

「夢の中で、君みたいな子を何度か見たことがあるよ」
「ぼくもだよ」

 

ローレンはシオンの元に駆け寄った。

「シオン!」
「やあ。ローレン」

シオンは表情をほんの一瞬だけ固めた。どうやらシオンにも糸は見えているようだ。

久しぶりに会うシオンの体は沢山の波をまとっていた。それが一体、痣(あざ)なのか刻まれたものなのかと、ローレンはシオンの波をじっと見つめた。

「波は人生のよう。いいことも悪いこともあるけど、最後には幸せが運ばれてくるようにと願いを込めて、ぼくは体に波を描くんだ」

シオンは少し誇らしげで、少し悲しげ。