ようこそ わが家へ

ぽぽの誕生日はいつかわからないの。去年わが家にやってきたぽぽ。

お父さんが東京から連れてきたんだ。空き家のえんの下で生まれていたんだって。近所の人が「野良犬が生まれているからすぐにつかまえにきて!」とれんらくをしてそれからみまわりが始まったみたい。

何日もみまわりの車が来ていたのできっとこわくてこわくて……ぽぽのお母さんときょうだいはどこかへにげてしまったんだって。それからお父さんは残されたぽぽたちを助けようとするけれどえんの下のおくへおくへとにげこんでしまいやっと2ひきを保護して自分の車に乗せて連れてきたんだ。

プップ~!! あ! お父さんが帰ってきた!

「おかえり~」
「ただいま! 車の後ろのドアを開けてごらん」

お父さんはニコニコしながらそう言った。ぼくがそ―――っと後ろのドアを開けるととつぜん白い子犬と茶色い子犬が飛び出してきてね! もうびっくりしたよ!

とってもかわいい顔をしていたよ。2ひきは初めて車に乗ったからつかれてしまったようで少し車よいをしていてね。

だからねぼくは2ひきをそ―――っとそ―――っとだき上げて家に連れていったの。そして大きなバスタオルを広げて2ひきをそこにそっと置いたんだ。

目がクリクリしていて可愛かった。知らない場所へやってきたからとても不安そうでね。

さいしょはきんちょうしてお水をあげても飲めなくて。だからぼくは自分の手に水をしめらせて口元にそっとつけてあげたの。そ――っとね。

そしたらね「ペロッ!!」とぼくの手をなめたんだ。少しお水が飲めるようになったんだよ。

ぼくはもううれしくてうれしくてね。小さな声で「だいじょうぶだよ。これからよろしくね」って伝えると2ひきはキョトンとした目でぼくを見ていた。

 
※本記事は、2020年10月刊行の書籍『ぽぽとくるのしあわせのばしょ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。