アッキーママこそ不意の来客に、嬉しさを隠し切れない様子である。

「コーヒーにする? 紅茶にする? あっ、そうだ、紅茶にしましょう。美味しいダージリン紅茶の茶葉があったわ。本格的に美味しい紅茶を淹れるから待っててね」
「はい、ありがとうございます。とても嬉しいです」
「いつかの、あのコンサートの日の紅茶の百倍も美味しく淹れるからね」
「楽しみです」
「ティーカップは私のお気に入りのスイトピーのカップで良いかしら? アッキーが生まれた時に記念に買ったものなのよ。デパートに買いに行ったのだけど、そうしたらね、すぐに目に飛び込んできたの。ティーカップの方から買って~って言わんばかりで、アッキーパパと笑っちゃったわ」

アッキーママの方が気分がハイテンションで一気に話をしたのだった。夕焼けが深いオレンジ色になるまで、ひまりとアッキーママはとても楽しい時間を過ごしたのだった。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『ずずず』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。