ダージリン紅茶

ひまりはアッキーママが死んでしまったお母さんに、どことなく雰囲気が似ているのをコンサートでぶつかってしまった時から強く感じていた。その優しく包み込むような笑顔と語り口は、ひまりのお母さんそのものだった。

コンサートの日、みんなで紅茶を飲んでいる時に突然帰ってきてしまったのも、そんな気持ちからの行動だったのだ。ひまりは、またアッキーママに会いたい気持ちが湧いてきていた。

アッキーに頼んでみてもいいのだが、ひまりはアッキーママと、どうしても二人きりでゆっくりと会いたかった。そして、お母さんが死んだ苦しみや悲しみを優しく聞いてもらいたかった。もちろん、アッキーには話せない事がたくさんあったのだった。

ある日、ひまりは放課後にアッキーママに会いに行く決断をした。ひまりは時に大胆である。突然行ったら、驚いてしまうだろう。アッキーに言わなくちゃ、言わなくちゃと授業中も思いつづけていたひまりだったが、やっぱり言えずに放課後になってしまったのである。