気仙沼市は2006(平成18)年に唐桑町を合併し、2009(平成21)年に本吉町を合併した。このグループには唐桑の会社も本吉の会社も含まれているが、本吉から唐桑に行くには車で1時間以上かかる。コミュニティと称するには広大な地域だ。

例えば、唐桑のガソリンスタンドが営業できなくなったとしても本吉の住民には何の影響もない。本吉の美容院が営業できなくなったとしても唐桑の住民には何の影響もない。

これら229の事業者は、半数以上はおそらくお互いに顔を合わせたことがないと思う。そのような事業者たちが、ただ同じ行政区に属しているからといってコミュニティと称するのは無理がある。

いや、名称がふさわしいかどうかはたいしたことではない。これらの事業者が共通の価値観を持ち、共同して何らかの事業を行うということが不自然、無理があると思うのだ。

その逆の例だが、わずか4社のグループもある。この4社は運送会社、タクシー会社、バス会社である。B社の社長はA社の社長の妻、C社の社長はA社の社長の娘である。

A、B、C三社とも本店所在地は同じ。D社は別の場所にあり、社長はA社の社長の親戚らしい。つまり、実質的にはこの4社は一社といってよく、グループというには不自然な感じを受ける。

誤解のないように強調しておきたいが、私はこれらのグループが不正をしていると言っているのではない。私はかつてこの「気仙沼市地域コミュニティ再生グループ」を担当していたので、このグループのことをよく知っている。みなまじめに、清掃活動のボランティアをしたり、防災訓練を企画したり、高齢者の買い物の手助けをしたり、自分たちの考えた共同事業に熱心に取り組んでいる。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『補助金の倫理と論理』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。