他言無用の指示を受け…

「このたびの結婚おめでとうございます。あなた(李王垠殿下)と方子さまが末永く添い遂げますように。また私の国『日本』とあなたの国『韓国』の関係もそうでありますように(君が代)。あなたの国が私の国とひとしく平和で穏やかな国(国靖んずる、靖国)になりますように七夕の短冊に願いをするように祈っています」

いつのころから目を付けられていたのかはわかりませんが、大御心に沿う形で祖父母は、7月7日の結婚を国によってさせられると、以上の事柄は他言無用の指示を受け、朝鮮半島の京城に満州鉄道の一員として入ることになったのでした。

それは、結婚のお祝いの品の京城駅の無事の竣工と、国が極秘に進めていた京城の地に新皇帝を迎えて完成する「日本の明治維新を手本とした韓国の維新」の成功祈願を兼ねたものでした。

そして、このころ、祖父の入ることになった京城龍山のすぐ近くの南山では、天照大御神<アマテラスオオミカミ>(伊勢神宮)と明治天皇(明治神宮)の二柱を、朝鮮半島の安定と繁栄のためにお迎えする、新しい神宮の本格工事が始まろうとしていました。伊勢神宮外宮にして五穀の神である豊受大神<トヨウケノオオカミ>、明治神宮の外宮にして護国の靖国神社を姓名にあわせもつ「豊田靖国」は、こうして極秘の任務に就くことになったのです。