澄世は、大阪の中心部にあるA病院へ、セカンドオピニオンを聞きに行った。結果は同じだった。手術は乳房温存手術と言い、癌の部分だけを取り、その部分に詰め物をするので、乳房はなくならないとの説明だった。

それで、癌なのだから早い方がいいと思い、K病院のS先生に手術の予約を取った。術前のMR検査を受けた後、S先生が言った。

「癌は左に二ヶ所、右に一ヶ所ですが、手術してみたら、細かいものが広がっている事もあります。その場合は、乳房を全部取る事もあります。万一ですが、一応そう言う事も了解しておいて下さい」

澄世は、頭を殴られたみたいな気がした。麻酔から目覚めて、乳房が無くなっている事もあるなんて、絶対に嫌だ!

万一と言われたが、医者まかせで、乳房が無くなる事も了解するなんて自分には無理だと思った。澄世はK病院に電話し、入院手術の予定をキャンセルした。そしてD先生のカウンセリングを受けた。

「キャンセルしたって! あなた、癌ですよ!」
「ええ、わかっています。死ねばいいんです」
「……」
「S新聞社にいた時から、私は四十で死ぬって予感していましたから、いいんです」
「……セカンドオピニオンだけでなく、サードオピニオンも受けたらどうですか?」
「……」
「京都だけど、乳癌専門で有名なC先生がいて、確か開業されていますよ」

D先生は親身に言われた。

※本記事は、2018年9月刊行の書籍『薔薇のノクターン』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。