しかし化石医師の実体験では市民病院への往復はタクシーで1万数千円かかります。年金生活の高齢者にとっては大きな負担です。自分の車で行けない。タクシーもお金がかかる。薬は30日しか処方してもらえない。

国民皆保険の中で日本国民は皆等しく医療を受ける権利を持っているはずです。でも現実には医療を受けられる格差が広がっているように思います。通院に交通費だけでも1万円以上かかるとなると欲しい薬だけれど受診することは止めておこうと思われる方も増えてくるでしょう。

「たかが眠られないだけではないか」と思われる方もいるかもしれません。でも眠られないことで翌日は動けず生活機能も低下していきます。患者さんの状態をしっかり把握するためにはできれば2週間毎、長くても1か月が望ましいと化石医師は考えています。

少し問題のありそうな方の場合は努めて短い間隔で診療を行っています。でも医師不足、医療過疎の地域ではやむを得ず3か月間隔となってしまう方もいます。そのような状況の中で「状態は変わらないがやはり眠られないからエチゾラムが欲しい」との受診は患者さんにとっても苦痛ですし急変した患者さんの受診機会を減らすことにもなります。

服薬チェックの中で抗うつ薬を使用されている方の中にご自分で内服調整している方が多いことがわかりました。こうした方には処方日数規制はあまり意味がありません。それよりも処方薬剤の治療上の意義、副作用についてきちんと説明をした方が望ましく日数制限ではなく総量規制にするべきでしょう。

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『新・健康夜咄』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。