・医療事故調査制度に注目したきっかけ

筆者が医療事故調査制度の案文を目にしたのは、厚労省第3次試案が最初である。第3次試案を目にして、この制度に危険を感じた。筆者は、立場上、第3次試案の危険性をただちに鹿児島市医師会、日本医療法人協会常務理事会に提起した。

厚労省はたちまち、大綱案まで提示する事態となった。日本医療法人協会は、当時の豊田尭会長の英断で、2008年(平成20年)、「死因究明制度等検討委員会」を新しく立ち上げることとなり、筆者も委員となった。これが、筆者が、医療事故調査制度に深く関与することとなったきっかけである。

第3次試案・大綱案を検討するなかで、その基となった第2次試案に目を通したのだが、原案である第2次試案を見ると、この法案の意図(責任追及)がよくわかる。ストレートに責任追及の制度である。

第2次試案をオブラートに包む形で、第3次試案・大綱案へとつながっていたのである。制度の理解のためには第2次試案を知る必要があると認識した。

※本記事は、2018年12月刊行の書籍『未来の医師を救う医療事故調査制度とは何か』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。