悩んだ結果、自殺が美しいという結論に至って自殺する場合もあるが、それはなかなかないので例外ということにしておこう。

つまり、次は僕の番である。しかし、僕は仕事をしなくても生活保護がある。

悩むことが余裕を前提にあるというのはこういうことである。良い時代に生まれてよかった。

そして、妻が自殺したというショックで自殺するということはない。それは悩む方の類なので辛くないわけではないが、僕の得意分野である。

多くの人が僕のことを最低な夫だと思うだろう。しかしそれは違う。これは強さだと思ってくれ。

妻が死んでから僕が自殺することはなかった。しかし、ある疑問が残った。

女は義務を果たすのが得意だ。男は悩むことが得意だ。だから男の方が不登校やニートが多い。

だとしたら、男と女は悩むことと義務を果たすことを役割分担しているのか? 女だって悩めば男の盲点だった素晴らしい発想が出てくると思っていた。しかしこれが事実なのか? こんな残酷なことがあっていいのか? 

いや、いいわけがない。人間は本能に逆らう生き物だ。僕がそれを証明してみせる。

まずは朝ごはんだけでも息子のために手料理を作ってあげることから始める。目標は就職することだ。義務を果たすことと悩むことを両立してやる。

※本記事は、2020年2月刊行の書籍『令和晩年』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。