第二章 教育の目的は子どもの幸せ

(5)私が考える「自らの意志による幸せ」

「自らの意志による幸せ」を感じるには、3つの条件があると考えます。

1つめは、「自分の心が充実していること」です。充実とは、自分が心に決めた使命や目的に向かって、自らの意志で行動するところに生まれるものです。

勉強でも、スポーツでも、なんでもいいのです。言い換えるなら「夢中になる」「努力する」ということでしょうか。

ロシアの文豪トルストイは、「努力は、幸福を手に入れる手段ではなく、努力そのものが幸福を与えてくれるのである」と言っています。これは学校の中でもよくある話で、部活動の最後の大会が終わった後に、生徒に一言を話してもらうと、「みんなと一緒に、大好きな野球に夢中になれた日々が幸せでした」という感想が非常に多いのです。

幸せとは、目標を達成するということよりも、目標に向かう一歩一歩そのものにあります。だからこそ、毎日全ての活動を、「楽しみ切っていくぞ」と思うところに生まれるのでしょう。

フランスの思想家ルソーも、「ほんとうの幸せの源はわたしたち自身のうちにある」と言っています。