「がんばって」鸚鵡返しに母の言うかすかに掌握り返して
わたくしはここより生まれてきたような小さく柔らかな母の掌
病む母に底力あり鏡台の前にてお化けの真似して笑う
※本記事は、2015年3月刊行の書籍『歌集 祈り』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。
歌集 祈り【第6回】
―ああだから月はみんなに愛されるんだ自分ひとりを見てる気がする―
夜明けに人知れずそっと咲く花のように、
それでいいんだよ、と許してくれるような、
自分のかわりに、幸せを願ってくれるような。
心に灯りをともす、優しくあたたかな短歌を連載にてお届けします。
「がんばって」鸚鵡返しに母の言うかすかに掌握り返して
わたくしはここより生まれてきたような小さく柔らかな母の掌
病む母に底力あり鏡台の前にてお化けの真似して笑う