華には特にやりたいことがない。何かに興味を持っているわけでもない。だから当然ながら、将来の展望などまったく見えてこない。五里霧中。もう長いこと、目隠しをされて霧の中を手さぐりでさまよっている気がしている。

華が今できることといったら、この状態をできるだけ引き伸ばしていくことだけだ。だが一つだけ、知りたいことがある。なぜ息をしているだけでこんなに苦しいのか、ということだ。

生きるのは過酷な試練だ。衣食住にまったく困っていないのに、華は苦しんでいる。もっと大変な状態を強いられている人がこの世の中にたくさんいることはもちろん知っているが、それは華にとってなんの慰めにもならない。

自分のこの苦しみは極めて特殊で自分だけのものであって、医者でもカウンセリングでも治せるものではない、と彼女は思っている。この苦しみがどこからくるのか、まったく見当がつかない。

周りが自分に無関心なのが辛いのだろうか? ……分からない。すべては自分の弱さのせいかもしれない。そう思ってみたりもするが、かといって強くなるにはどうしたらいいのか分からず、途方に暮れてしまうのだった。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『空虚成分』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。