この13年間でリウマチの治療がいかに大きく変わり、それがいかに患者さんの症状を改善させているかがよく分かります。

ただし、関節リウマチの寛解状態は、いろいろな薬剤を使いながらの寛解状態であることが多く、治療を止めると寛解が保てなくなる場合がほとんどです。

薬剤をすべて中止しても寛解が保たれれば、それは「治癒」「完治」を意味することになりますが、現実はそんなにうまくいきません。関節リウマチの症状が強くて生物学的製剤を投与したらよく効いて寛解状態になった。治ったのではないかと考えて薬剤を中止したら、また症状がぶり返した。残念ながらこうなる場合が多いのが実情です。

いかにして寛解に導入できるかが今までの我々の関心事でしたが、これからは寛解に入った後、いかにして薬剤を止められるかが大きな研究課題になっています。

病気で辛い時は何とか病気が良くなってほしいと思いますが、治療がうまくいき病気が良くなると、今度は何とか薬が止められないか、という希望が生じるのは当然の話です。どのような条件が整えば薬剤を中止できるのかを、前述したIORRA調査などを通じて検討していきたいと思いますので、是非とも患者の皆様のご協力をお願いいたします。

暑い夏の後の秋風がとても心地よいように、辛い病気が寛解して普通の日常生活が送れるようになった時の喜びは、病気を経験していない人には分からない素晴らしいものであるはずです。

一人でも多くの患者さんを「寛解」に導入できますよう、そしてその先にある「治癒」「完治」を目指せますよう、より良い医療を目指して私たちも精進していきます。

急に涼しくなりました。お風邪を召して体調を崩しませんように。

※本記事は、2019年1月刊行の書籍『リウマチ歳時記』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。