<木登りや塀歩きを見守る力>

小さな頃に木登りをすべき、大きくなってからの方がずっと危険

子どもたちを危険から守ることは、もちろんとても大切なことです。それは、親はもちろん、子どもを取り囲む周りの人たちの責務ともいえます。

しかし、それが過保護になってしまっては、子どもたちの危険に対する判断力が養われず、本当に危険なものとの区別をつけることができません。

木登り、塀の上を歩くなどの遊びを、危ないからだめと言っていたらいつまで経ってもできるようにならず、いざ、挑戦した時にはどうすればいいのかわからなくなり、大けがをするケースがあります。

包丁やのこぎりを使ったり、料理をするなどの行為も同様です。5歳にもなれば、かなりのことができます。何事も触ってみなければ、ノウハウが身に付きません。大きくなり、知識だけで始めた時こそが、一番危険な状態なのです。

ドイツの子どもには、「木に登る権利」、「泥んこになる権利」が法律で保証されています。幼稚園教育要領においても、「周囲のさまざまな環境に好奇心や探究心をもって関わり、それらを生活に取り入れていこうとする力を養う」ことを目的の1つにしており、幼少期における自然と関わる意味合いは深く、自然の大きさ、美しさ、不思議さなどに直接触れる体験を通して、子どもは心が安らぎ、豊かな感情、好奇心、思考力、表現力などの基礎が培われます。

近くに大きな公園がないなど、環境が整いにくいとは思いますが、是非、子どもを自然と触れ合える場所に連れて行って、楽しんでみてはいかがでしょうか。

ここがポイント
子どもたちを危険から守るのは大切なことです。しかし、過保護はむしろ危険に対する判断力を奪うことになりかねません。木登りや料理などは、見ているときに少しずつやらせてあげましょう。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『デキる社会人になる子育て術 元ソニー開発マネージャが教える社会へ踏み出す力の伸ばし方』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。