関節リウマチに関しては、治療学の進歩で、かなり病気をコントロールできるようになりました。そして、薬を使いながらでもほぼ無症状になり、関節破壊の進行も止まり、不自由のない日常生活が送れるという「寛解(かんかい)」状態まで回復する患者さんが多くなりました。

しかしながら、現在の治療法は病気を悪くしている物質を減らすもので、病気自体を治すものではありません。したがって寛解になっても「完治した」と言える状態ではなく、治療の継続が必要です。治療をすべて止めるとかなりの確率でまた再発します。

難病である膠原病でも、適切な治療により症状もすべて消えて、普通の生活ができる人が増えました。しかし、やはり病気を根本から治す治療法ではなく、治療を中断するとやはり病気が悪くなります。

痛風の場合は、生活習慣病の要素が強いので、生活習慣の見直しがきちんとできた場合は、薬剤を中止できることがあります。しかし、ほとんどの患者さんでは血清尿酸値をコントロールし、痛風発作の再発を防ぐために内服を継続する必要があります。

このように「体の中から生じた病気」は、現状ではなかなか治りません。

しかし、病気が「治る」ということを「治療を継続しながらでも病気になる前と同じように健康な人生を送れること」と考えれば、膠原病も関節リウマチも痛風も、かなりの割合の患者さんが「治った」と言える状態になっています。

そこまで医学は進歩しています。現在、治療を受けられている患者さんは、ご自身の病気を理解し、治療の必要性を理解し、治療を続けながらも健康的な生活を送っていただきたいと思います。

医療機関にいる我々は、そのためのお手伝いをし、できることなら患者の皆様には、病気にならなかった人よりももっと実りある人生を歩んでいただきたいと思っています。

我々は猛暑や豪雨のような自然現象には勝てませんが、しのぐことはできます。そして秋風が立てば、暑さも次第におさまります。病気も同じ。我慢してしのぐことが大切な時があります。

まだまだ残暑が続きます。くれぐれもご自愛のほど。

※本記事は、2019年1月刊行の書籍『リウマチ歳時記』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。