第2章 社会

車の両輪のように

時計の修理のために町の時計店を訪れました。修理を待つ間町内の話がいろいろ出ました。中でも一番の話題は病院に関することです。「病院が無くなったら私達は生きていけない」。この店のご主人はたびたび入院されています。

先日も白内障の手術を受けられたばかりです。でも「生きていけない」理由はそのような入院に関することばかりではないのです。「地域包括ケアの構築には医療担当者と首長さんが車の両輪のように考えを共有し、一緒に動くことが一番重要である」

私達国民健康保険診療施設の集まりである全国国保診療施設協議会は高齢社会に必要な医療、地域ケアとして地域包括ケアの構築を活動理念とし、時代に先駆けて実践してきました。

そして前述のように地域包括ケアを構築するためのアイテムとして診療施設の責任者と首長が車の両輪のように歩むことが大切だと指摘してきたのです。

ウルグアイのムヒカ元大統領は国の隅々まで訪問されたそうです。上に立つと下がよく見えそうですが現実には下のことがわかりにくくなるものです。その点自分自身で国内をあちこち訪問し地域の現状をしっかり把握すれば真に地域で必要とされる政治が行いやすくなります。

化石医師の地域でも合併前は様々な行事や会議などで行政担当者や議会関係者と時間を共有する機会が多くありました。何よりも皆同じ地域に居住され顔見知りばかりです。そんな人間関係の中で地域に必要な医療、ケアについて意見を交わすことができました。その結果まさに車の両輪のように動くことができたのです。