アルツハイマー型認知症では頭頂側頭連合野、後部帯状回、楔前部の血流低下が、レビー小体型認知症では頭頂側頭連合野に加えて内側後頭葉の血流低下が、前頭側頭型認知症では前頭葉に強い血流低下がみられる場合は比較的典型的な所見です。

PETはポジトロン・エミッション・トモグラフィー(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮影)の略語で、ポジトロンCTともいわれる核医学診断装置のことです。

その原理は、陽電子(ポジトロン)放出アイソトープ(放射性フッ素18Fを有するFDG)を体内に注入すると、体内の陰電子と結合してガンマー線(γ線)を発生する性質を利用して、それを検出器で測定し、コンピュータで処理して断層画像化するものです。アメリカではFDG糖代謝異常が認知症診断の基準となっています。

脳は活発に活動しているため、エネルギー源として大量のブドウ糖が必要となります。そのため、ブドウ糖に似せた検査薬「FDG」を与え、その取り込まれた量を撮影することで脳の活動状態を把握することができます。こうしたことからアルツハイマー型認知症やてんかんの検査に使用されています。

アルツハイマー型認知症では、脳の特定の場所の活動量が減りブドウ糖の取込量が減少します。その部位ではブドウ糖をうまく利用できなくなっているのです。つまり、PETではFDGの集まりが悪い状態で映し出されるので、初期の段階で発見することが可能となります。

一方、てんかんの場合はアルツハイマー型認知症とは逆に、脳の一部が異常興奮することで発作が起こるので、PETではFDGが集中している部分が映し出されます。 

※本記事は、2018年5月刊行の書籍『改訂版 認知症に負けないために知っておきたい、予防と治療法』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。