③発達障がいのお子さんと向き合う時は、「何ができないか」ではなく、「何ができるか」に焦点を当てることが重要です。そのためには、一日の中でお子さんのできたことが一目でわかるように、できることの一覧のカードを作ることをすすめています。

そして、できた箇所にハンコを押し、例えば5つたまったらスーパーに連れて行くなどのご褒美をあげるのです。これは、DRC(Daily Report Card)というコミュニケーション方法です。 私のクリニックでは、ページ下部に示すような「ちゃんと行動カード」を、家庭と学校でやってもらうように提案しています。

発達障がいのお子さんが褒められることで自信をつけ、前向きに行動をするようになることを期待した、いわば行動のポイントカードです。DRCを使うことにより、できたことを褒めることと褒める大切さを知ってほしいのです。

④手助けをしてくれる機関についての情報を知っておくことも大切です。知的な面に弱点のあるお子さんの場合は、各県にある自閉症協会が主催する親の会を紹介しています。同じ立場の親御さんとさまざまな問題を共有し、解決できるからです。

この会は主に、特別支援学校へ通っている自閉スペクトラム症の子どもを持った親御さんの集まりです。一人で悩まず仲間が大勢いることを知ってほしいと考えています。

⑤普通学級、または特別支援学級へ通っている発達障がいのお子さんを持った親御さんの集まりがあります。自分の近所にないかどうか調べてみてください。発達障がいを抱えるお子さんを持つ親御さんは、孤立しがちです。

話し相手になってくれる仲間を作ってほしいのです。そのような会では、実際に通っている人が感じた学校の教師や医師の評判といった、ネットなどではあまり知りえないような情報が手に入ることもあります。

[図1]ちゃんと行動カード
※本記事は、2018年10月刊行の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。