第3章 世界のパラダイム

ビフォアコロナ アフターコロナ

​9 持続不可能から持続可能社会へ

持続可能社会に積極性が見られない日本ですが、危機意識は人類共通になってきたようです。人口減少が止まらない日本では、2019年の出生率が1.36に下がり、歯止めがかかりません。

すくない出生率の中で、誕生してくる子どもたちをほんとうに大切に育てなければなりません。彼らの多くは、2100年頃まで命を全うしなければなりません。

産業革命以後、地球の気温は1度上昇したといいます。私は社会に出たころ、ある交差点で、排気ガスをまき散らしながら、数多の車が走り去るのを見て、私たちの将来はいったいどうなるのだろうと、暗澹たる気持ちになったことを、いまでも鮮明に覚えています。

あれから、40年、地球全体でみればその問題はいまだ解決されていません。むしろ、地球環境は大きく悪化しました。このような環境を次の世代に渡すには、私たちはあまりに心苦しいものがあります。

新型コロナ以前でも、私は毎日、天気予報と同時にPM2.5予測情報を確認し、出社していました。大気が汚れ、時には注意喚起情報が発信されます。マスクをかけることはしばしばです。

晴天に恵まれる日でも、外気が汚れているため、窓を開け放すこともできません。何という時代でしょうか。晴れ晴れとした気分で、爽やかな外気に触れて子どもを遊ばせることができないのです。

いまでも、公園で楽しそうに遊ぶ、子ども連れの親子を見かけますが、大気情報をきっとご存知ないのだろうと思います。巨大な地球にいながら、地球の有限さは身につまされます。

気温が1度上昇しただけで、世界中のいたるところで海面は上昇し、夏が長く、冬が短くなっています。