3.地球

(1)小さな地球

つい数世紀前まで、我々はこの地球が宇宙の中心であり世界の全てであると考えていました。

然るに、この数世紀、特にこの一世紀における物理学、天文学、観測器機の目覚ましい発達により、宇宙はそれ迄の想像を絶する大きなものであるという知識を得、さらに我々の住むこの宇宙でさえ唯一の宇宙ではなく宇宙は無数にある可能性迄考えられるに至ったことは前述のとおりです。

宇宙でさえ「無」から生じたとする説が有力であるからには、ものの大小を語ることには、ある意味、大きな意味のないことは承知しておりますが、我が地球が宇宙の中にあってどれほどのものかに注目しますと、その大きさというよりもそのあまりにも小さな存在であることに驚きを禁じえません。

現在観測可能であるという意味でのいわゆる宇宙の地平線までの距離は数百億光年であるということですが、対する地球の直径は13,000キロメートル、半径は6,500キロメートル程度です。観測可能な宇宙の地平線のさらに向こうに拡がっている宇宙の大きさはわかっていません。

その宇宙の地平線までの距離を地球の直径としますと、地球の大きさはウイルスよりもまだまだ小さく、ウイルスの天文学的数値分の1という極々微小な、あるかないかわからない大きさ(小ささ)でしかないことになります。つい最近まで、世界の全てであり宇宙の中心であったことに思いを致しますと、そのあまりの凋落ぶりには涙がこぼれます。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『神からの自立』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。