これを私流に翻訳するとこうなる。

1、財源が豊かな地域と財源が乏しい地域で行政サービスに差が出るのは望ましくないので一定の行政サービスの水準を保つためには補助金が必要である。

2、中央が地方をコントロールするためには補助金が必要である。

萩田の回答は、いうまでもなく補助金Aの必要性に対する回答である。そして、行政学的回答であるといえる。この回答を理論経済学者が、特にアメリカの理論経済学者が検討したら、補助金の必要性の根拠は乏しいという結論を出すかもしれない。

アメリカのように、連邦政府は州政府と対等であり、連邦政府が州政府の上にそびえ立つものではなく各州の利害関係の調整人として出現するのであれば、連邦政府が州政府をコントロールすることはない。州ごとに法律が異なり行政サービスも異なるが、連邦政府が全州一律の行政サービスを要求することはない。

日本は端から補助金Aが必要な仕組みになっているのだ。やや意地悪な見方をすれば、萩田の回答は補助金が必要な仕組みになっているから補助金が必要だと言っているに等しく回答になっていない、といえるかもしれない。しかし、萩田の回答は、おそらく行政学的な視点からは模範的な回答なのだろうと思われる。