第2章 補助金の論理

2 補助金の必要性、正当性

アメリカにも補助金はある

トランプ大統領がメキシコとの国境への壁の建設費を予算に盛り込もうとしたが民主党が拒否。予算が成立せず、政府機関が2018(平成30)年暮れから2019(平成31)年初めに閉鎖されるという事態になった2019年1月9日(現地は1月8日)、アメリカABCニュースはこのことに言及して、政府機関の職員が無給で働いている、農家も補助金(SUBSIDY)をもらっていないと報じた。

アメリカも農家に補助金を出しているのかと意外に思われた方もいるかもしれないが、アメリカの農業補助金には古い歴史がある。前掲『補助金の政治経済学』には「連邦補助金は前世紀末に主として農業分野における小規模な補助金として生まれた」という記述がある。

この本が出されたのは20世紀であるから、ここでいう「前世紀」とは19世紀のことだ。この「小規模な補助金」はその後、アメリカの主力輸出品である大豆、小麦、綿花などの農産物に対する輸出奨励金として大規模なものとなっていく。