「……私を抱いて。貴方に抱かれたいの……初めてだから面倒をかけるかもしれないけど、私を抱いて!」
「冗談はよしてくれ! 君、何を言ってるのか自分でわかってるのかい?」
「私、本気よ」
「僕は、僕は……そんな下心があって、君を部屋へ呼んだんじゃないよ」
「わかってます。でも、私、今、そうしたいの」

神矢は私の瞳をジッと見つめた。長いこと、そうして私達は見つめ合った。

神矢が立ちあがった。私も立ちあがった。私達はテーブルを離れて、一緒に立ち、私は神矢に近づき、彼の右手に両手をそっとふれた。

その一瞬で、私の体に電流が走った。神矢は私を見つめたまま、私の左手を急に握って、引っぱった。私は、神矢について歩いた。ベッドルームに入った。

神矢は黙ったままだった。部屋のカーテンはひかれていた。

私はワンピースの前開きのボタンを上から順々にはずしていった。はずし終わると、ためらわずサッとそれを肩から脱ぎ捨てた。

続いて、パンティストッキングを脱ぎとった。それから無造作に白のスリップのレースの裾を持ち、まくり上げて、長い髪をよけて頭から脱いだ。次に白のブラジャーの後ろのホックをはずし、腕を抜いてとった。私の小ぶりの胸があらわになった。

最後に白のパンティを脱ぎ下ろした。素っ裸になって、私は突っ立っていた。私はどうしたらいいのかわからず、そのまま立っていた。腕を組んでジッと見ていた神矢の顔が、笑っているようにゆがんだ。

※本記事は、2019年6月刊行の書籍『愛』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。