国譲りの神話

古事記には、日本文化の根底にある天照大御神を中心とする文化が、どのようにして始まり、広まったかが記されています。

そのなかでも国譲りの話は、現在の日本の国の基となっており、その話の主人公である大国主命(おおくにぬしのみこと)は「因幡白兎伝説(いなばのしろうさぎでんせつ)」でも知られています。

大国主命は須佐之男命の第6世の子孫に当ります。この神様は神産巣日神(かみむすびのかみ)の子の少名畏古那神(すくなびこなのかみ)とともに、試練を乗り越え日本の国をつくった神様です。

二人は力を合わせて国づくりを行うとともに、少名畏古那神が医療や医薬に優れていたことから、人々に農耕や病気治療の方法も授けたとされています。その後、少名畏古那神は自分たちが行った国づくりについて、よい所もあるが、よくない所もまだ色々と残っている、といい残し、常世(とこよ)の国に旅立ってしまいました。

大国主命が国づくりを終えた時、高天原にいる天照大御神は「この国は、わたしの子の天忍穂耳尊(あめのおしほみみのみこと)が治めるべきです」と国譲りを命じたのです。すると大国主命は、話し合いの末に、「この国は仰せの通り、ことごとく献上することに致します」と、抵抗することもなく譲ることにしたのです。

それにより、天忍穂耳尊の子である邇邇芸命、つまり、天照大御神の天孫が降臨して日本の国が誕生し、大国主命は出雲大社に祭られたのでした。

このことは天照大御神が大国主命の国を、奪い取ったような話に見えますが、実はこの国譲りの話の中に、日本の国の根源があるのです。

※本記事は、2020年7月刊行の書籍『いま、日本の危機に問う』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。