小学校を卒業してもうすぐ中学校に上がりますね。
チハルさんはチハルさんらしく自分の思った道を歩いて行って欲しいと願っています。
また、いつでも手紙を下さいね。
お母さんも私も、チハルさんの幸せを心から願っています」

もしかしたら、彼女はこの手紙を読んで心が辛くなったかもしれない。が、私は本音で書いたことに悔いはない。

彼女もいつか自分の将来を決めなくてはならない。自分一人で生きる時が必ず訪れるのだ。私は何もできない無力で情けなさを感じた。

この先、大人になってチハルちゃんが愛し愛される男性に出逢う日が訪れると思う。結婚をして子供が生まれ、チハルちゃんが母親になった時、思いきりの愛情で我が子を育てていく中で心は愛で満たされて行く。チハルちゃんにも全ての子供たちにも幸せになって欲しいと心から願っている。

同級生の小柄なタカシくんが転校した。運動神経が良くてちょっぴりヤンチャな男の子。学級発表会が行なわれた日。六年生の子供たちの演目は「組体操」だった。

なぜか、ピラミッドの一番頂上の一人が乗っていないことに誰もが気づいた。誰? 家に帰ってから、子供たちに聞いてみた。

「どうしてピラミッドの一番上は誰もいなかったの?」と。

すると、子供たちは淋しそうにポツリと言った。

「あそこは、タカシが乗るんだよ。タカシがいなくなったから、誰も代わりはいないんだ」

私は、タカシと言う名前に敏感に反応した。その後の「誰も代わりはいないんだよ」と言った子供たちの言葉が何度も何度も心を連打していた。

タカシくんは、今、どこで何をしているんだろう? どうか幸せに暮らしていて欲しいと願うばかりだった。

その後、サトシくんは、母親と新しい父親に引きとられ兄と家族四人で家に挨拶に見えた。サトシくんは、公認会計士の資格をとるため勉強し、彼女もできて、青春をエンジョイしているらしいと息子から聞いて嬉しくなった。

子供はみんな同じなのだ。我が子も他人の子も愛しい存在。可愛いのだ。

少しは思い出して欲しいと思う。私たちは一人で大人になったわけではない。一人ではなれない。

親や先生や周りの人々の助けや励ましの中で大人にならせていただいた。次の世代に愛のバトンを渡して行きたいと思いませんか? 

大人は子供たちを慈しみ見守り、社会に貢献できる大人にすることの責任を果たして行きたい。私の体のどこを輪切りにしても子供に対する思いは同じであると言い切ることができる。

普遍的な考え方なのだ。死ぬ寸前まで変わらない。

 
※本記事は、2020年10月刊行の書籍『プリン騒動』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。