原則消極説にいう交通事故等別個の原因による死亡の場合は医師法第21条に該当するとの見解は、この厚労省通知によるものと言えるが、この見解は従来から医療現場に定着していた見解である。この昭和二十四年四月十四日通知は撤回されたとの誤解があり、在宅医療に支障を来したため、厚労省は再度、確認のための通知、医師法第20条ただし書の適切な運用について(平成二十四年八月三十一日、医政医発0831第1号)を発出した。参考のために、以下に平成二十四年通知を記載しておく。

(参考)医師法第20条ただし書の適切な運用について(平成二十四年八月三十一日、医政医発0831第1号)(各都道府県医務主管部(局)長あて厚生労働省医政局医事課長通知)

医師法(昭和23年法律第201号)第20条ただし書の解釈については、「医師法第20条但書に関する件」(昭和二十四年四月十四日付け医発第385号各都道府県知事宛厚生省医務局長通知)でお示ししていますが、近年、在宅等において医療を受ける患者が増えている一方で、医師の診察を受けてから24時間を超えて死亡した場合に、「当該医師が死亡診断書を書くことはできない」又は「警察に届け出なければならない」という、医師法第20条ただし書の誤った解釈により、在宅等での看取りが適切に行われていないケースが生じているとの指摘があります。

こうした状況を踏まえ、医師法第20条ただし書の解釈等について、改めて下記のとおり周知することとしましたので、その趣旨及び内容について十分御了知の上、関係者、関係団体等に対し、その周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏のないようお願い申し上げます。

1 医師法第20条ただし書は、診療中の患者が診察後24時間以内に当該診療に関連した傷病で死亡した場合には、改めて診察をすることなく死亡診断書を交付し得ることを認めるものである。このため、医師が死亡の際に立ち会っておらず、生前の診察後24時間を経過した場合であっても、死亡後改めて診察を行い、生前に診療していた傷病に関連する死亡であると判定できる場合には、死亡診断書を交付することができること。

2 診療中の患者が死亡した後、改めて診察し、生前に診療していた傷病に関連する死亡であると判定できない場合には、死体の検案を行うこととなる。この場合において、死体に異状があると認められる場合には、警察署へ届け出なければならないこと。

3 なお、死亡診断書(死体検案書)の記入方法等については、「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」(厚生労働省大臣官房統計情報部・医政局発行)(http://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/)を参考にされたい。

※本記事は、2020年5月刊行の書籍『死体検案と届出義務 ~医師法第21条問題のすべて~』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。