第2章 医師法第21条(異状死体等の届出義務)条文の歴史的経緯

(2)東京都立広尾病院事件判決の歴史的意味

医師法第20条但書に関する件(昭和二十四年四月十四日医発第385号 各都道府県知事宛厚生省医務局長通知)

表記の件に関し若干の誤解の向きもあるようであるが、先の通り解すべきものであるので、御諒承の上貴管内の医師に対し周知徹底方特に御配意願いたい。

1 死亡診断書は、診療中の患者が死亡した場合に交付されるものであるから、苟くもその者が診療中の患者であった場合は、死亡の際に立ち会っていなかった場合でもこれを交付することができる。但し、この場合においては法第20条の本文の規定により、原則として死亡後改めて診察をしなければならない。

法第20条但書は、右の原則に対する例外として、診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に限り、改めて死後診察しなくても死亡診断書を交付し得ることを認めたものである。

2 診療中の患者であっても、それが他の全然別個の原因例えば交通事故等により死亡した場合は、死体検案書を交付すべきである。

3 死体検案書は、診療中の患者以外の者が死亡した場合に、死後その死体を検案して交付されるものである

(参考)医師法第20条(無診察治療等の禁止)
医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。