09 人間を離れて真理は存在しません。「人間があるから真理があるのであり、人間を離れて真理はない」ということです。これを、「人間原理宇宙論」になぞらえて、「人間原理真理論」と呼んでもいいかもしれません。(本章重要事項04)

10 人間という生命体の性質に由来する「人間界至高の理念」を人間界に生ずるもの一切に関する最高判断基準とするべきです。(本章重要事項15)

11 神の最高善の不存在 神の存在を仮定しても、宇宙万物に対してはもとより、人間・人間界に対してさえ、普遍で絶対(不変)の神に基礎づけられた最高善・道徳法則なるものは存在しません。なお、善には狭義の善と広義の善とがあります。

前者は道徳・倫理を含む行動規範の善悪に関わり、後者はその他の善・美を含む感性認識及び愛などに関わる善なるもの一切を含む概念を意味します。我々人間界における広義の善(悪)とは、神仮説によっても、神や宗教に属する概念ではなく、この宇宙において唯一人間という生命体にのみ属する概念であるよりほかのものではありません。(本章重要事項16、17)

12 無垢で何者からも自由な存在として生を受けている者です。(第5章にその論考)

13 煩悩即至宝 煩悩は負のイメージで語るべきものではありません。煩悩こそが人間という生命体の至宝たるエネルギーの源泉そのものです。(第5章、6章、7章)

14 人間という生命体に不用の戒律 人間という生命体にそぐわない宗教が設えている戒律は不用です。(第5章、第6章)

15 神も宗教も人間のためにあるべきものであって、その逆はありません。つまり、人間性の実現が目的であり、神や宗教はその目的を達成するための手段にすぎないということです。これを「人間と神・宗教の関係の原理」と呼びます。(第7章)

16 人類にとって、神や宗教について争わず、神や宗教に頼らず、神と宗教から自立することが最重要事項です。(第7章)

17 人類第1の命題=自然環境・生態系の保全 地球の自然環境・生態系が壊滅すれば人類は絶滅します。従って、生物にとって都合の良い生態系の保全は人類第1の命題でなければなりません。然るに、この人類第1の命題は主権国家の第1の命題とは一致していません。なぜなら、主権国家にとっては自国の政治・経済・社会問題や国際問題・紛争の解決が最優先事項だからです。

従って、生態系保全への世界各国の足並みはそろわず、遅々として進まないという現実があります。さりながら、どのような事情があろうとも、人類には“今”なさねばならない必須事項があります。それは、生態系が壊滅に向かって止めることができない進行を開始する手前で損壊を止めなければならないということです。そうしておいて、生態系が生きている状態でその保全、原状回復、改善を第1の命題に据えることのできる世界国家へバトンタッチしなければなりません。(第8章)

18 人類の総意 核兵器を人間界から廃絶すること及び人間界が平和であることは、全世界全人類全ての個の総意(人類の総意)であると考えられます。然るに、核兵器は廃絶されず我が人間界に居座り、人間界は平和ではなく紛争や戦争が絶えません。人間が統べる人間界でありながら、人類の総意が通らず実現できないなどという愚かでおかしな事態がなぜ生じているのでしょうか?

この絶対矛盾が生じているメカニズムを解消しない限り、核兵器廃絶も恒久的平和も実現することはありません。夢のまた夢です。(第8章)

19 許し合うこと 人種・民族差別、宗教の違い、国々の存在にまつわる争いにより、人間界には過去からの負の資産としての恨みや憎しみが蓄積され暗雲のごとく地球を覆っています。これをこのまま放置すれば、過去の負の資産は新たな争いを生み、その結果新たな負の資産が形成されることになり、このサイクルは人類終焉の日まで絶えることなく継続します。争いが存在すれば人類滅亡のリスク迄心配しなければならず、その上に、滅亡に至るまでの間、人類は不幸の中で生きなければなりません。 

我々はこの負の資産を子孫に相続させてはならず、我々の世代で消滅しなければなりません。そのため、我々は今無条件に(大切です)過去を許し合い、お互いの恨みや憎しみを水に流し解消しなければなりません。許し合うことで過去を変えることはできませんが、未来は変えられます。許せない過去なのかもしれません。しかし、許せない過去であるからこそ許し合わなければなりません。許せない過去を引きずり、未来における許せない過去を今から新たに増産してはならないからです。

我々は未来を過去に支配されるような「愚か」は断たなければなりません。許し合い、恨みや憎しみをこの地上から消滅すること、そして争わないこと、たったこれだけのことで人類は平和も幸福も理想郷も思いのままに手にすることができることになります。神や宗教に頼ることではありません。我々人類自らが解決し掴み取らなければならないことです。(第2章、第5章B−32)

20 世界国家 地球上に存在する数多の主権国家は国の最終形ではありません。国の最終形は人類を一つの群れとして地球に唯一の国として存在する地球国すなわち世界国家でなければなりません。この国には敵対国は存在しませんから、恒久的な平和の実現が約束されます。主権国家の数多ある世界においては、個の命題が「平和」であることに対し、個の集合である国家の命題が「戦争」であるという矛盾が必然的に生じますが、世界国家の下では個と国の命題が「平和」で一致します。(第8章)

21 地上の理想郷人間界に平和が実現すれば、地球上に理想的人為環境が実現しますが、これと地球という自然環境と合わせて、地球は人類の理想郷になります。理想郷とは、理想的な人為環境と理想的な自然環境の和として表現できるものです。(第8章)

22 非現実な希望と非現実な決断 人類の末永い平和と幸福のために理想郷を建設するという希望、そしてそのための必要条件となる人類滅亡の回避は現実から見れば遠い非現実です。この非現実を実現するためには、現実を以てしてはその実現は困難です。つまり、非現実の実現は非現実によるしかないということになります。その非現実の取っ掛かりに「核の廃絶」と「世界国家の樹立」があります。従って、我々には今この非現実に向かう決意と行動が要求されることになります。(第8章)

なお、上記の前提や思想は、「03神の存在・非存在は不明」を除き、余は、濃淡はありますが、本書のオリジナルであると考えられるもの幾つかを含みます。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『神からの自立』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。