男の子とアイスクリーム

毎週日曜日は子供たちと三人で公園へ出かけることが日課だった。
昨夜三人でそれぞれのてるてる坊主を作って廊下の窓に吊るした。

てるてる坊主てる坊主
明日天気にしておくれ♪

と、合唱した。てるてる坊主は、コクンと頷いて、三人の願いは届いた。
澄み渡った青い絵の具が広いキャンバスを染め抜いていた。そこには一つも白色は混じっていなかった。

私は、子供たちのお昼のお弁当を作った。小さめのおにぎり四個とウインナーソーセージを六本焼いて、冷ましてからタッパーに入れた。

飲み物は、二リットルのペットボトルから空の五百ミリリットルのペットボトルに移し入れて、横に倒してもこぼれないようにきちんとキャップを閉めた。こちらの方が経済的なのだ。スーパーの袋にそれを二本入れ、冷凍庫から小さ目の保冷剤を二個取り出し一緒に入れた。

子供たちは汗かきなので、着替えとタオルも持って行く。おやつも少々持って行く。
家から車で十五分くらい行った所の公園が子供たちを今か今かと待っていた。

公園の駐車場スペースは広々としていた。日曜日の午前中とあって、平日より車の駐車台数は多い。家族連れがほとんどで、そこには幸せ色の風が吹いていた。

私は車のエンジンを切り、安全確認をしてから子供たちを下ろし、次に荷物を下ろして公園の敷地内へと三人でテクテク歩いて行った。まず視界に映ったのは、青々とした芝生にレジャーシートを敷きつめて寛いでいる家族連れの光景だ。おじいちゃんとおばあちゃんと孫の組み合わせや、親子四人のシートもあった。まさしく平和な光景そのものだ。

私も木陰のある芝生に、持参したネズミの可愛いレジャーシートを広げて敷き、そこへ荷物を置き座った。

子供たちはすでに、水をえた魚のように芝生の上でピチピチと跳ね回っていた。子供は遊びの天才であるとつくづく感心させられる。その二つの影法師から私の目は離れなかった。公園だからと言っても油断はできない。いろいろな人間が出入りできる空間なのだ。

まず子供たちは、公園の中で一番人気がある船の形をした遊具へ登って行った。船は木造で、舵や羅針盤らしき物があった。それも危なくないように木製で作られており子供たちが素手で触っても棘が刺さらないように角は丸く削られておりツルンとしていた。さすが、公園の遊具だけはある。

そんな大人の理屈などは露知らず、子供たちは無邪気に動き回っていた。私はいつもこうして子供たちの楽しそうな様子を見ることが大好きだ。

子供たちが遊びに熱中している顔は、日差しと重なりキラキラ瞳を輝かせ、動く宝石に見えた。その宝石を見ながら私の心はコロコロと笑っていた。

子供たちが楽しい時は私も楽しい。反対に風邪を引いて元気がない時には私も同じ気持ちになる。子供は体温が高いためか、熱が少しくらいあっても割りと元気でいる。

しかし高熱となると話は別だった。本当に代われるものならば代わってやりたいと思う。子供を思う親の愛情はどんなものよりも大きくて強いと断言できる。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『プリン騒動』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。