この雇用率、雇用の義務化に知的障害者が追加されたのは平成10年、平成18年精神障害者は実雇用率としてみなすことになりましたが、厳密な意味で雇用率の算定基準に追加、正式に雇用義務に追加されたのは平成30年でした。そして内容的に一歩踏み込んだのが、平成25年障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)が制定され、それを受け同年、障害者雇用促進法の一部改正がなされたことです。

それによって、差別の禁止、合理的配慮の提供義務、法定雇用率の算定基礎の見直し(前述、平成30年)が盛り込まれました。障害者差別解消法は平成28年施行され、障害を理由とする差別的取り扱いの禁止と合理的配慮の提供義務が法的義務となりました。

これは障害者を雇用する事業所にも当然及びます。就労において、何が差別的取り扱いなのか、どうすることが合理的配慮なのか、個々において、特に精神障害者において、難しい判断を迫られることになりました。

障害状況が目に見えるわけではなく、労働能力をどう評価したらよいのか、知的障害者のように支援学校の先生が教えてくれるわけでもありません。ハローワークでも障害者雇用の事業所開拓、精神障害者の雇用の理解などに努めますが、障害者自身が就労できるように支援していく必要が出てきます。

[図表] 障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス
出典 厚生労働省 障害者の就労支援対策の状況
※本記事は、2020年9月刊行の書籍『“発達障害かもしれない人”とともに働くこと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。