第3章 障害者の就労支援と発達障害

障害者の雇用促進

現代社会で人が働くことには、ふたつのベクトルがあり、ひとつは雇用、会社や事業所が雇うという産業社会の要求です。もうひとつは人が労働者として就労する、就労に足る労働力を持っているということです。

このふたつが合わさって、労働社会は成り立ちます。しかし福祉社会を志向すると、その折り合い点を多くの人が社会参加できるところに探さなければなりません。

まずはひとつ目のベクトル、雇用についてふれます。身体障害者福祉法(昭和24年)の10年ほどあと、身体障害者雇用促進法(昭和35年)が制定され、事業所に対し身体障害者の雇用の促進を進めていきました。ハンディキャップがあってもできる仕事、技能の獲得、などによって雇用機会を広げていきました。

そしてやっと、昭和62年、障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)が施行され、知的障害者も対象となりました。そして平成16年発達障害者支援法ができ、翌平成17年には障害者総合支援法の前身の障害者自立支援法ができ、時を同じくして障害者雇用促進法の対象に精神障害者も加わりました。

雇用促進法の流れはこのようなものですが、実際は昭和49年に雇用保険法ができ、昭和51年に身体障害者を対象とする雇用率制度ができ雇用の義務化に向かっていきます。