俳句・短歌 歴史・地理 歌集 古事記 2020.11.13 歌集「古事記物語・異聞」より三首 歌集 古事記物語・異聞 【第30回】 松下 正樹 私たちの太陽(アマテラス)はどこへ行ったのだ? 日本人の原像がまざまざとよみがえる。 日本最古の史書『古事記』に登場する神々の世界を詠う、他に類を見ない叙事的な歌集。叙情的な文語と明快な口語を絶妙に組み合わせながら、神々の悲哀と愛憎をつぶさに表現する。 日本の神々は、民と交わり、民とともに働き、人間同様死にゆく存在でもある。 王国の成立と興亡の歴史が秘められた『古事記』の世界を、人々の悲しみと喜びを歌で再現。日本人の原点の物語を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 死体より五穀がそだちて稔りたり これより現し世の人に伝はる *現し世 地上に生きる人々の世界。 春なれば現し世の人種子を蒔き 五穀を稔らすならひとなりき 大気都比売のもとを離れし須佐之男は 地上をめざし降りてゆきけり
エッセイ 『59才 失くした物と得た物』 【新連載】 有村 月 結婚してから35年、「愛」はなくとも「情」は生まれる ダンナが死んだ―まさかの現実。自覚はなかったが、この時から私の「おひとりさま」は始まろうとしていたようだ。たしかにダンナは肝臓の数値が悪いと1ヵ月半入院したものの退院、体力も少しずつ戻りはじめ還暦祝の1泊旅行もし、そのたった1週間後にはこの世からいなくなるなんて、頭の中のすみっこにさえなかった事。よくいう野球の九回裏2アウトからの逆転満塁ホームラン的な。その1年半前、最愛の母が「くも膜下出血」で…
小説 『しまなみ海道に消えたミス』 【第5回】 風向 良雄 恋人はいるのに、突如現われた男性へのときめきが止まらない。何かありそうな予感が… テーブルの上には愛媛県の広域観光用のパンフレットがたくさん並んでいる。広域観光企画協議会が結成され観光客誘致のために作成されたもので県内各自治体の自慢を掲載している。その男性は愛媛県の各地のパンフレットを手に取り見ていた。この男性も愛媛に行ってみたいという気持ちになるだろうか。間近に見るその男……おおきい、確かにおおきい。わたしも女としてはおおきいほうであるが、この男はむちゃくちゃおおきくて圧倒…