台風の近づく兆し朱色の
 ちぎれし雲の流るるはやし

 

台風が去りし秋空筑波なる
 女・男の山体まさやかに見ゆ

*筑波山 八百七十六メートル。山体は女体・男体の二峰からなる。

 

かろがろと稲田とび交ふあきあかね
 弥生の代より人に親しき

*あきあかね 「赤とんぼ」のこと。日本固有種といわれる。

※本記事は、2014年2月刊行の書籍『歌集 忘らえなくに』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。