「やっぱし、おかしいと思ったサングラスかけてるし」
「しょうがないでしょー。今夜はヒマなんだし」
「そうかー。で、昼間話した件なんだけどさ火曜の夜にGETしに行くから、翔ちゃん、一緒に行ってくれない?」
「えっ、どこまで?」
「浅草まで」
「何時頃?」
「向こうにつくのが、夜中の2時」
「えー、真夜中に大麻1キロ持って車で移動すんのー? 男2人で?」
「なんも問題ないよ。場所は首都高おりてすぐのとこだし、俺のクラウンで行けば怪しくないよ。翔ちゃんのフィアットじゃまずいけど」
「失礼な、じゃぁ、俺は行かなくってもいいんじゃないの?」
「1人で行っててさぁ、タイミングが悪くて待たされるときなんか、超ヒマなんだよ、ねぇ、お願いだから」
「まぁ、たまにはしょうがないか。いいよ」
「やったぁ、あと、もう1つあったんだ」
「何が?」
「用事」

と、言って新二は椅子から立ち上がり、ポケットからマッチ箱を取り出して「はいっ」翔一に手渡した。

「それが、この間話したやつのサンプル。それを1万で出そうかなぁと思ってる」

翔一は、受け取った『小さな箱』をテーブルの下で、他から見られないように押し開けて、中を見た。半透明で、大小さまざまな結晶が小さなビニールに詰まっていた。

「G(グラム)売りでも、オーダー(注文)受けていいの?」
「いや、まだ手始めの状態だからグラムでは受けないで、とりあえずはパケ売りでオーダー取ってね」

新二はそう言って、席を立った。

※本記事は、2017年9月刊行の書籍『DJ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。