平成初期、小学校において授業が成り立たないという状況に「学級崩壊」という言葉が使われはじめました。これは教師の指導力の低下、ゆとり教育、自由保育からくる集団活動の不足などの保育・幼稚園から小学校への接続問題と重なりあっていたのです。

その原因の一つとして発達障害のある子の行動が誘発していると考えられました。そして、小学校までに保育・幼稚園で身につけておく力が問題となってきました。

すると、教室にいる落ち着きのない子どもには発達障害が疑われました。知能の遅れはないのですが、不注意やケアレスミスや忘れ物が多かったり、他の人と同じ箇所に注意を向ける共同注意ができなかったり、多動性、衝動性があるため突然暴れる(キレる)のです。その関連性のある障害がADHD(注意欠如多動性障害)と考えられたのです。

ADHDの子どもには、運動能力が高い子もいます。環境さえ整えばサッカーやバスケットボールなどの運動に対しては、素晴らしい能力を発揮すると思います。

しかし一方で、協応動作ができずに、不器用(クラムシー)と呼ばれる発達性協調運動障害(DCD)の子どももいます。それが運動嫌い、学習の遅れ、非行、いじめの対象、不登校にもつながっていくこともあります。

不登校は、小学校段階で約300人に1人、中学校で約30人に1人くらいの割合の子どもがいます。小学校では、1学校に約1人、中学校では1学級に約1人の割合です。中学校では1年生の夏休み明けや2年生に進級した頃になると急激に不登校が増えるといわれます。

不登校問題は中学校で改善されず、高止まりの様相をみせています。学校での修学のあり方もだいぶ議論されています。必ずしも「学校の場」に来なくても、それに代わる適応教室などの教育委員会が認めた施設への登校でも卒業認定されるようになってきました。

※本記事は、2019年6月刊行の書籍『もしかして発達障害? 「気になる子ども」との向き合い方』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。