①環境条件により善悪は異なる

前述のように、ここでいう環境条件は文化、文明、人為・自然環境のことで、人類における善悪を定める上で重要な条件となります。このことは環境条件が変われば善悪も変わることを意味しています。

ノートしておきたいことは、この条件の記述はわかりやすくするため冗長になっています。すなわち、文化、文明は人為環境に包摂されますから削除しても良いことになります。又、自然環境の中には海や山はもとより人類も含まれます。

人類が生物的に進化して行くことを前提とすれば、進化した人類の善悪は変わり、その織りなす人為環境も変わることになりますから、これ等の変遷につれて善悪は移り変わって行くことになります。

さて、「環境条件により善悪が変わる」という実際にも支持されている思想が指し示していることは重大です。それは、善悪には普遍性はなく、又こうであらねばならないとか、未来永劫変わらないことを意味する絶対性も不変性もないということです。

②人類と宇宙人の善悪

前出の「善悪の適用対象者と適用善悪の関係」に於いて、人類と宇宙人の善悪系は共通か固有かという問いが残されています。

善悪の定義は、その定義の中の「人類という生命体の性質」と「人間界至高の理念」の中の“人類”と“人間界”をそれぞれ“宇宙人”と“宇宙人界”と読み替えれば、宇宙人にも適用可能になるとすれば、人類と宇宙人の善悪系は共通であると言えるかもしれません。

とは言え、人類と宇宙人の環境条件は、人類の集団間に生じている違いよりも大幅でかつ異質である可能性も考えられます。

すなわち、自然環境については、人類の住む地球と宇宙人の住む天体および人類と宇宙人の生物的特徴の違い等があり(似通っている可能性もないとは言えませんが、我々には、宇宙人は生命体として認識できない何者かかもしれません)、人為環境については、知的レベルに由来する違い等が含まれますが、これらのことは全てはっきりしたことではありません。

つまり、現状においては、人類と宇宙人の善悪系は共通か固有かの結論を云々するための確証がないことになります。しかし、この結論が得られないことについては、そんなに気にする必要はないことのように考えられます。

なぜなら、今現在、人類と宇宙人はお互いの善悪が干渉しあうことを気にしなければならないような状況にはないからです。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『神からの自立』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。