しかし、以前は関節リウマチに対して十分な治療法がなかったので、早期に発見できても、有効な早期治療ができなかったのです。今では有効な薬剤がたくさん開発されて、また早期診断も可能になっています。早期に治療すれば関節が壊れる前に病気の進行を止められる、そんな時代になっているのです。

ただし、誤解がないようにしていただきたいことが2つあります。

ひとつは、関節リウマチの状態は患者さんごとに異なります。症状が出始めた頃から全身の関節炎がとても強い人は早期から強力な治療が必要ですが、関節リウマチの患者さん全員に強力な薬物治療が必要なのではありません。適切な治療法は患者さん個々で異なります。

もうひとつは、以前から関節リウマチを患って関節が変形してしまった患者さんでも、現時点から有効な薬物を使うことで日常生活も楽になりますし、これ以上の変形を防ぐことも可能になります。

「早期」「超早期」というと、早く治療しないと手遅れではないかと思われがちですが、そうでない場合も多いのです。あくまで患者さん個々の病状の把握が大切だと思います。

今年は寒い冬です。体調管理には十分すぎるほど留意して、ご自愛ください。

※本記事は、2019年1月刊行の書籍『リウマチ歳時記』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。