溝口:正論であり極論であるというスタンスで聞いてもらえると助かりますが、世の中で一番大切なものは何か? 家族で一番大切なものは何か? 自分の中で一番大切なものは何か? 車、家、お金、名誉、命(健康)の五択アンケートを実施したら、おそらく90%以上の人が命(健康)という選択肢を選ぶと思います。

「健康であり続けたい」「元気であり続けたい」「どんなものがなくなっても命だけは失いたくない」等々。これは世界各国、万人の共通した思いのはずです。じゃあ、そのためには何が必要か?

それは予防医療を含めた万全な医療体制です。テロ対策、政治、政局、食糧問題、エネルギー問題など、国を運営するためには、どれも重要だということは誰もがわかっています。しかし、このすべての根幹に必要なものは人間の知恵であり、人間の努力です。それがあってはじめて機能するわけで、機能させるためにはモーター源である命(健康)があってこそ。それは家族を機能させるのも同じです。

子供には健康であってほしい。病気になった親には少しでもいい医療を受けてほしい。健康な体で長生きしたい。これは誰もが思うことです。

そこに政治家や芸能人など、著名人と一般人に差はありません。しかし、収入の格差だけではなく、この一番大事な医療においても格差が生じ始めています。政変が起きても、与野党が逆転しても、世の中のシステムやルールが変わっても、その時代に即したものであれば何ら異論はありません。

しかし、一部の人間や企業の既得権益のために、本当にいい医療を受けたい人たちが受けられなくなるというのは本末転倒です。「NOと言えないニッポン」と言われて久しいですが、何もかもを欧米に右へならいする必要はありませんし、特に医療システムに関しては国民(患者)のために必要なものは残していくべきです。そして逆に悪いと思われるものはどんどん改善していくべきです。

アメリカの医療システムなんかは反面教師にしていかなければならないと思います。オバマケアとトランプケアの違い、両方が与える国民へのメリット、デメリットを遠い国の医療、対岸の医療とはとらえず、もしその医療システムが日本でも採用されたらどうなるのだろうか?と考えるべきです。明日は我が身としてね。

※本記事は、2019年4月刊行の書籍『ゴッドハンドが語るスポーツと医療』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。