とにかく、こういった薬を継続して服用されている患者は、ケガや命にかかわる事故につながり、認知症の発症率が高くなるということをしっかり押さえておく必要があります。こういう類の薬を安易に処方する医者は要注意です。

他にもマイスリーなど短期間作用型の睡眠剤もよく使われ、副作用として前向健忘や性格の変貌などが挙げられます。前向健忘症ってご存じですか?

中村:いいえ、わかりません。

溝口:前向健忘症っていうのは新たな記憶が十数分しか残らないというのが特徴です。たとえば、車を運転する技術は覚えているのですが、数十分するとどこへドライブに行ったのか、行き場所自体を忘れてしまう。これが前向健忘症です。

このように薬を間違った方法で服用するということは本当に怖いのです。中村さんも使用したことがあるかと思いますが、痛み止めのロキソニンだってそうです。

常用していると、胃の粘膜がただれて出血や吐血の原因になったり、腹痛を起こしたりします。さらに胃潰瘍や腎臓障害になって血便が出たという報告もあるそうです。2016年、厚労省からロキソニンに対して「胃潰瘍の危険、小腸や大腸に狭窄や閉塞が起きます」ということをうたいなさいという指導がありました。