東京都立広尾病院事件東京高裁判決と医師法第21条

(4)医師法第21条は「外表異状」で決着

今回の医療事故調査制度に関わる論議のなかで、死亡診断書記入マニュアルとリスクマネジメントマニュアル作成指針の2つの通達の問題点が、行政的に解決されたのである。

(1)2012年(平成24年)10月26日の田原克志医事課長発言により、医師法第21条にいう異状死体の判定が「外表異状」であることが明示された。

これは、その後(2)2014年(平成26年)3月8日「医療を守る法律研究会講演会」(鹿児島市)において、大坪寛子医療安全推進室長が追認。

(3)同年6月10日参議院厚労委員会で小池晃議員の質問に対して田村憲久厚労大臣が外表異状確認発言を行っている。

(4)2015年(平成27年)、平成27年度版死亡診断書記入マニュアルにおいて「法医学会異状死ガイドライン参照」の文字が削除されたことにより、外表異状は行政的にも確立し、死亡診断書記入マニュアルの弊害は厚労省によって解消されたのである。厚労省の英断というべきであろう。