特に、女性にもSを使って、SEXなんかにハマッたら、5時間でも、6時間でもやっているだろう。寝ず、食事もとらず。体に悪影響があるなどという生やさしい状況じゃあない。血圧や心拍数は、普段の『倍』の数値をかるく上回る。

例えれば、動いていないのにずっと全力疾走をしているようなもの。真夜中のテレビCМでやっているように、人間を『すぐにやめなければいけない』ということはないが、いずれ、かなり早めにやめることになる。

翔一の過去にも、いろいろとSに絡んだ事件があった。その頃彼が、友人の家で3人集まって、Sをやっていたときのこと。その家には彼らの他に、人が居なかった。

場所は、マンションの3階。「誰かが、ドアの外に居る」その家の住人が呟いた。

部屋のふすまは、閉まっている。当然玄関のドアが、見えはしない。

「誰も、居ないって、ちょっと『カングリ』入ってんじゃないの?」

翔一と、もう1人の友人は、そう言って笑った。が、しかし。

「いや、絶対に居るよ。多分、警察だよ間違いない。俺を逮捕しに来たんだ」

そう言った男の目には、実際に恐怖が浮かんでいた。

「じゃあ俺が、見てきてやるよ」

そう言って翔一が、部屋の襖を開けようとしたそのとき「逃げろー」と、叫びながら窓を開けベランダから逃げようとして、墜落した。地面まで。

幸い、腕を骨折しただけで済んだが、もっと高い場所で、同じ条件でやっていたときに同じ結果にならないとは思えない。

『あのときはさすがにあせったな』

今になって思い出してみても、背すじに冷たいものが走る。

※本記事は、2017年9月刊行の書籍『DJ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。