彼も向こうを向いて眠っていた。しかしウトウトと心地良い眠りに誘われた頃だった。突然後ろから抱きつかれて胸を優しく撫でられた。

気色悪い! 咄嗟に目を覚ました私は自分でも信じられないほどの嫌悪感を感じて、絡みつく旦那の手足を素早く振り払った。彼は寝ぼけているのか、低く唸った。

ほんの一ヶ月ほど前まで、旦那とは普通にセックスをしていた。しかし今は、身体を触られることさえ汚らわしくて仕方がなかった。犯される。そんな恐怖すら感じて鳥肌が立った。

結婚祝いにと祖父にねだって買ってもらったキングサイズのベッドは、有名ブランドのものだ。拘りのマットレスは高密度のスプリングが使われており、柔らかいのに身体が沈まず寝心地抜群だ。

そして相手と充分に距離を取れるほど広く、今まではさほど一緒に眠ることに抵抗を感じなかった。しかしやはり同じ空間で眠るということさえも、もう精神的に不可能に近かった。

旦那に対してここまで嫌悪感を抱く自分に驚いた。その要因は間違いなく、ショウ君の存在だった。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『不倫の何がいけないの?』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。