先ずは乙女たちのお話から。

〇 一六の春から稗(ひえ)をまいたよう

当時は数え歳、一六は今の一四か一五、中学二、三年生に当たる。栄養の悪い時代であったから、一六でやっと毛が生えて来た。

〇 一三パッカリ毛一六
〇 めっきりとオイドの開くお一三
〇 一六で娘は道具揃そろうなり

昔の人は考え方が早かったのである、一六は大人の仲間入りであり、いよいよ男が寄って来るのである。

〇 口説く奴辺(あた)り見い見い側(そば)へ寄り
〇 痛いことないと娘口説くなり
〇 草ばかり千切って恋の返事せず
〇 そんなこと存じませんと鶴を折り
〇 折れそうなとは下手な口説きよう
〇 させろとはあまりにげすな口説きよう
〇 かか様が叱ると娘初手は言い
〇 ほんのりと娘返事を顔に出し
〇 承知するそうで娘辺り看る

この頃の少女は屁もこかないほど澄ましている。
若い二人のオナラの小噺を一つ。

惚(ほ)れ合った同士が差し向かいで座っていた。緊張した娘がうっかりプウ、
「こんな女にさぞ愛想が尽きたでしょう」と娘が言えば、
「何の、屁(へ)の一つぐらいで、オレの気持ちが変わるものか」
喜んだ娘、とたんに緩んで、また一発! 男、鼻をつまんで、
「さてもさても、疑り深い」

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『お色気釣随筆 色は匂えど釣りぬるを』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。