BS2「人の資産(育成機会損失引当金)」の出し方

「正社員への道が未来を切りひらく」で述べましたように、派遣社員や契約社員への依存は企業にとって機会損失につながる可能性が高いことを認識しておく必要があります。人を資産としてみなし、大事に育てることで企業力が増していきます。社員の人間力を高める、今まで気づかなかったことに気づき、自立的に仕事ができるようになってはじめて生産性は上がっていくものです。

ところが派遣社員や契約社員に依存する経営を行っている限りこうした人間の成長の道は閉ざされてしまいます。それは人が経費として認識されているからです。経営側は発展余力をもたらさない人の資産がどれほどあるのかを、日頃から把握しておかなければなりません。

下の図表2は、正社員に対し教育効果7倍に相当する時間単価2万111円の教育を年間96時間行う例です。この教育機会に派遣社員や契約社員が参加しなかったとしますと、正社員の教育効果が非正規社員に及ぶことはありません。前頁の例で、もし派遣社員や契約社員の3名が正社員として教育を受けたとき、413万7120円という潜在的な人資産を獲得することになります。

[図表2] 育成機会損失引当金

一方この3名が教育を受けなければ、413万7120円を得ることはできません。企業は413万7120円を獲得する機会を損失することになるのです。この金額を育成機会損失引当金としてBS−2に転記します。