この障害は、本格的には文字や数字を習う学齢時に顕在化します。たとえば、日常の会話はよくできるが、学習となると教科書の文字を読めない。逐字読み、読みとばし、読み間違い、勝手読み、知っている文字や単語だけを読む。

二字であれば読めるが、長い単語になるとまとめて読めない。単語は読めるが文章となれば読めない。漢字の使用ができない、という学習困難が観察されます。

本来、人の脳は音声による言語を処理するような「音声専用仕様」ですが、「文字」が使われることで聴覚と視覚を結びつけ、言葉の意味を理解するという変換回路を後天的につくるようになりました。その学習の役割を担うのが、教育の力です。

就学時頃から半ば強制的に教え込むことによって、文字という視覚感覚を脳の中心にある部分で音情報として変換し、ブローカ野(言葉を理解するところ)に入力するといわれています。

暗記・注入主義のような感じで、よいイメージはありませんが、小学校低学年の子どもたちはドリル学習で何回も繰り返すことで、その回路がスムーズになり、変換が容易になります。

小学校入学の6歳頃から脳のニューロン(神経細胞)をつなぐ絶縁性のミエリン(脳髄鞘(のうずいしょう))ができあがってくるといわれます。この時期に脳を鍛えることでニューロンを取り囲むミエリンが太くなり、脳回路がしっかりとできあがってくるとされます。

しかし、なかにはいくら練習を重ねても流暢に読むことができず、「読み」が上達しない場合があります。これが、読字障害ではないかと考えられています。「読み」ができるためには、幼児期から文字への関心、音韻意識、聴覚ワーキングメモリー(記憶)などを育てることば遊び、絵本の読み聞かせを十分に経験することが大切です。

音韻意識とは、人の声(音声)を聞いて、それが意味として意識できる力のことです。たとえば、「はなをさわる」を聞いて、「はな」を「花」あるいは「鼻」といった意味のあるイメージをもつことができる意識のことです。

読字障害は、漢字の画数やひらがな、カタカナ、アルファベットなど文字によって困難性は違いますが、おおよそ次のような障害の特徴をもっています。

① 逐字読み(文字の一字一字をたどる読み方)。スラスラと流暢に読むことができない
② 文字を読む際の不自然な区切り方。単語として認識することができない
③ 文字や行のとばし読み。注意が逸れてしまう
④ 推測読み。集中が続かない

※本記事は、2019年6月刊行の書籍『もしかして発達障害? 「気になる子ども」との向き合い方』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。